日帰り白内障手術について
白内障かな?と思ったら
白内障の発症原因は、加齢によるものから、糖尿病やステロイド内服などの影響で発症するものまで様々です。
現時点で白内障の唯一の治療法は手術加療となりますが、手術を希望されない場合は点眼加療内服治療で経過観察していくことも可能です。
白内障と思って受診したら別の眼の病気が見つかることもあるので、気になることがありましたら、是非一度眼科受診をして精密検査を受けることをお勧めいたします。
また、白内障手術は安全性の確立された手術なので、安心してお受けいただけます。
なお、当院では、徹底した衛生管理のもと手術を行っておりますが、万が一合併症が疑われる際でも、早期に対応可能な器機や設備を備えておりますのでご安心ください。
多焦点眼内レンズについて
多焦点眼内レンズを使うメリット
近くと遠くに焦点が合うので裸眼で快適に過ごすことができ、メガネへの依存度が減ります。
お仕事などでメガネやコンタクトレンズの装用が難しい方でも良好な視力を得ることができます。
多焦点眼内レンズを使うデメリット
多焦点眼内レンズのデメリットとしては、視界のコントラスト低下があります。ピントが若干ズレたり、薄暗い場所で小さい物が見ずらいなどがあります。
夜間では、車のヘッドライトや店舗などのネオンサインの光がにじんで眩しく感じる場合もあります。
また、人によっては慣れるまでに時間がかかることもあります。
単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの違い
白内障手術に使用する眼内レンズには2種類あり、単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズがあります。
単焦点眼内レンズはその名が表す通り、1つの距離に焦点を合わせた眼内レンズのことで、近距離・遠距離のどこか1点にピントを合わせます。
単焦点眼内レンズ
単焦点眼内レンズを入れた後は白内障の濁りがなくなり非常に見やすくなりますが、設定した1つの焦点にはピントが合いますが、それ以外の距離のピントは甘くなるため、近くに焦点を設定した場合は近視メガネ、遠くに設定した場合は老眼鏡が必要となります。
多焦点眼内レンズ
多焦点眼内レンズは、単焦点眼内レンズと異なり、近距離・遠距離などの複数の焦点にピントを合わせることができます。
ただし、若い頃のように見たいところに焦点を自由に合わせてくれる水晶体とは違うので、位置によっては見えにくいこともあります。
この場合はメガネが必要となることもあります。
それでも、単焦点眼内レンズを入れた場合における、見たい距離に応じて、複数のメガネを持ち運んだり、メガネの付け外しを頻繁に行うことから解放されます。
何かしらの理由でメガネやコンタクトレンズの装用ができない方のほか、メガネをかける頻度や本数を減らしたい方にはお勧めです。
多焦点眼内レンズは、近距離、中間距離、遠距離といった複数の距離に焦点を合わせることができるように設計されています。
多焦点眼内レンズに慣れるまでには個人差がありますが、一般的に数ヶ月程度かかるとされています。
加えて、暗所では単焦点眼内レンズと比較して、ややくっきり見えない可能性もあります。
夜のライト等を見ると、まぶしさを感じることもありますので、夜間の運転等についてはレンズを入れた後の数ヶ月間については、特に注意が必要です。
当院で使用している多焦点レンズ
【Johnson&Johnson(AMO)社】
- 連続焦点レンズTECNIS Odyssey 33万(税込)
- 連続焦点レンズ乱視用TECNIS Odyssey ToricⅡ 35万(税込)
【アルコン社】
- 3焦点眼内レンズClareon PanOptix 32万円(税込)
- 3焦点眼内レンズ乱視用Clareon PanOptix Toric 35万円(税込)
- 焦点深度拡張型レンズClareonVivity 32万円(税込)
【HOYA社】
- 多焦点眼内レンズVivinex Gemetric 33万(税込)
- 多焦点眼内レンズ乱視用Vivinex Gemetric Toric 35万(税込)
- 単焦点眼内レンズVivinex Impress 33万(税込)
Vivinex Gemetric(ビビネックス ジェメトリック)の特徴


2024年8月に、日本製として初めての三焦点眼内レンズ「Vivinex Gemetric(ビビネックス ジェメトリック)」が発売されました。このレンズは、日本企業であるHOYA社が製造する多焦点眼内レンズで、回折ゾーンを光学部の中心3.2mm圏内に配置することで、遠方の視力を維持しつつ、中間距離や手元の視力もバランスよく確保できる設計となっています。
Vivinex Gemetricの光学特性
Vivinex Gemetric(ビビネックス ジェメトリック)は、中間距離で+1.75 D(約80cm)、近方で+3.5 D(約40cm)の加入度数を持ち、遠方・中間・近方の3つの距離に焦点が合う設計となっています。
Vivinex Gemetricの主な特性

- +1.75 D, +3.50 D 加入の非球面3焦点眼内レンズ
- 長期安定性に実績のある眼内レンズ素材(Vivinex素材)
- 5つの乱視用眼内レンズを準備し、軽度乱視にも対応可能
- 安心・安全な手術のため実績あるmultiSertインジェクター
- 眼内レンズおよびインジェクター共に日本企業HOYA社製
- 光学部の中心3.2 mm径内に回折ゾーンを持ち、不快光視現象(ハロー・グレア)の低減を期待するデザイン
- 遠くの見え方を犠牲にせず、中間距離と近くの見え方を確保するための光配分
Vivinex Impress(インプレス)の特徴

Vivinex Impress(インプレス)は、従来のHOYA社の疎水性アクリル単焦点レンズVivinex (XY1)に改良を加え、より広い明視域を実現したレンズです。
ヨーロッパではすでに広く使用されており、Johnson&Johnson社の「テクニスアイハンス」やBVI medical社の「Isopure」とも比較されることがあります。
単焦点レンズでありながら、中間距離の視力向上が期待できる点が特徴です。
Vivinex Impressの光学特性

Vivinex Impress(XY1-EM)の具体的な加入度数は公表されていませんが、従来の「XY1」と比較すると、-0.75~-1.25D(約1.3m~80cm)の範囲で結像性能の向上が見込まれます。ただし、焦点深度拡張型(EDOF)の基準は満たしておらず、分類上は単焦点レンズに該当するため、通常の保険適用レンズと同等の扱いとなります。
TECNIS Odyssey(テクニクス オデッセイ)の特徴


従来多焦点レンズよりさらにハロー・グレアを抑えた構造。
遠方から近方40センチまで配慮された多焦点レンズとなります。
Clareon® Vivity®(クラレオン ヴィヴィティ)の特徴


アルコン社独自の波面制御(X-WAVEテクノロジー™)という技術を搭載した、波面制御型焦点深度拡張眼内レンズです。
Clareon® Vivity®が提供するライフスタイル
ほとんどの場合で、メガネを使用せずに遠くのものをクリアに見ることができます。
ほとんどの場合で、パソコンの画面などをメガネなしで見ることができます。
ほとんどの場合で、近くのものを読む際にメガネを使用する頻度が減っています。
Clareon® Vivity®と単焦点レンズの夜間の見え方の比較
今までの3焦点レンズに加えてハロー、グレアなどの見えづらさが起こりにくい設計となっております